第3回 正しい理解で効果的な実践を「ストレスチェック」外部委託のポイントとは? | ストレスチェックのASPサービス こころの保健室

有識者の声
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第3回 正しい理解で効果的な実践を
「ストレスチェック」外部委託のポイントとは?

 企業からストレスチェックの相談を受けていますが、社内で実施事務従事者を選任し、産業医を実施者とし、厚生労働省の無料プログラムを用いて、社内のリソースだけでストレスチェックを行おうとしているところは少数派です。企業側が知ってはいけない情報がある上、実施事務従事者となる従業員の負荷も高いため、社内で実施事務従事者を選任したとしても、実務は外部機関に委託したいと考える企業が多数です。一方で、多くの外部機関がある中、どこをどのように選んでよいのか?と困惑している企業も少なくなく、この制度の実施者として期待されている産業医に相談が寄せられてきます。

 そこで今回は、厚生労働省が作成したマニュアルを参考に、産業医の視点も踏まえて、外部機関に委託する際のポイントをまとめていきます。

(1)ストレスチェック制度についての理解があるか?

  • □本人の同意なく結果を事業者に提供することは禁止されていることを理解している。
  • □衛生委員会での審議内容を知っている。
  • □社内規定づくりのサポートはある。

この辺りは、ほとんどのストレスチェック受託外部機関が理解していますから、あまり心配はいりません。

(2)受託業務全体を管理できる実施体制になっているか?

  • □実施者に必要な資格を有する者がいる。
  • □実施者が明示されている。(氏名、資格など具体的に)
  • □ストレスチェック実施後の面接指導を行う産業医資格を有する医師がいる。
  • □外部機関内にも実施事務従事者がいる。
  • □外部機関の実施者や実施事務従事者が、事業者側(委託元)の産業保健スタッフ(産業医等)と連絡調整を行う体制ができている。

 外部機関内に実施者となる有資格者が不在で、システム提供のみというケースがあります。その場合は企業内で実施者を選任し、実施者の要件を満たすよう配慮しなければなりません。企業内の実施者を選任している産業医にお願いしたい場合には、外部機関がその産業医と綿密に連絡調整など連携できる状態になっているか、よく確認してください。
 産業医が共同実施者でない場合、個人のストレスチェック結果を労働者の個別の同意がなければ産業医は把握できず、十分な対応を行うことが難しくなります。

※実施者の要件

  • ・ストレスチェックの調査票を決めるに当たり、意見を述べる。
  • ・高ストレス者を選定する基準や評価方法について意見を述べる。
  • ・個人のストレスの程度の評価結果に基づいて医師による面接指導を受けさせる必要があるかどうか判断する。

 委託を検討している外部機関と企業が選任している「産業医」とが連携体制をとれず、「産業医」を実施者にすることができない、産業医が実施者になる体制で行いたいとご相談いただくケースが増えています。

(3)調査票の項目、評価方法、実施方法について

  • □外注先の実施者が調査票の選定や高ストレス者の選定基準について提案している。(名義貸しではない)
  • □調査票の科学的根拠が示されている。
  • □第三者が見られないようセキュリティ管理されている
  • □実施者が受検者全員の結果を確認し、面接指導の要否を判断する体制になっている。
  • □事業者の求めに応じて労働者の受検状況を事業者へ提供できる。
  • □未受検者に対し受検勧奨ができる。
  • □集団ごとの分析が可能である。

職業性ストレス簡易調査票以外の調査項目やオリジナルの調査票を用いる場合には、その調査票が科学的裏付けを取っているか確認してください。人事担当者では判断が難しい場合には、選任している産業医に相談し意見を求めるとよいでしょう。高ストレス者判定は、点数による自動判定だけでなく、実施者が実際に各受検者の結果を確認して、最終的に面接指導を要する対象者かどうか判断しないといけません。

(4)ストレスチェック実施後の対応が、指針等に沿った形で提供できるか?

  • □結果通知内容は法令に定められ事項が網羅されている。
  • □事業者側に知られることなく高ストレス者への面接指導勧奨ができる。
  • □労働者から同意の取得方法は結果通知後になっている。(事前や実施時では不適切)
  • □5年間結果の保存が可能である。

ストレスチェックの結果通知内容は、単に点数結果だけでなく、セルフケアのためのアドバイス、面接指導の要否に関するコメントやその申出連絡先を表記する必要があります。医師の面接指導とは別に、結果を事業者に提供せずに相談できず相談窓口なども案内するよう推奨されています。

(5)面接指導及び指導後の対応が適切か?

  • □発見された高ストレス者への対応ができる。
  • □面接指導をする専門家がいる。
  • □面接指導をする場合には、個人情報保護や企業側との連携、緊急な対応が可能である。 ストレスチェック制度の真の目的は、調査の実施ではなく、面接指導などの「事後措置」にあります。ですから、高ストレス者への面接指導を行う受け皿がきちんと用意されているのか?は大きなポイントです。事後措置を企業内の産業医が主に行うのであれば、産業医と委託先外部機関が連携を取ることができる体制が望ましいです。

非常に低コストで引き受ける外部機関もありますが、実施者となる専門家が不在である、データ保存はしない、実施期間を過ぎると個人結果にアクセスできないなど、スペックの制約がある場合が多々あります。部署ごとの集計・分析はオプションであることも多く、コスト優先で選ぶ場合でもポイントをしっかり確認してください。

以上、ストレスチェックについて産業医の立場からコメントを含め紹介させていただきました。ご参考になりましたでしょうか?ストレスチェックについて精神科医及び産業医としての、客観的な意見をご希望の場合にはご相談ください。

著者紹介

石井りな

石井りな

  • Rina Ishii
  • 精神科医、産業医、
  • 労働衛生コンサルタント
  • 精神科医、産業医、労働衛生コンサルタント
  • 独立行政法人東京医療センターにて初期臨床研修修了後、同病院精神科で後期研修。その後、医療法人高仁会戸田病院、川口クリニック等、精神科診療に従事。同時にうつ病リワーク施設や企業向けの復職支援機関での復職支援を経験。精神分析・力動的精神療法、認知行動療法などの精神療法も学ぶ。多くの企業での産業医経験を経て、フェミナス産業医事務所設立。 運営法人は(株)プロヘルス


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