ストレスチェックコラム
50人未満の事業場も対象に?ストレスチェック義務化の最新方針を解説
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2025年3月14日、政府は労働安全衛生法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。この改正案の大きな柱の一つが、これまで努力義務とされてきた従業員50人未満の事業場に対するストレスチェックの実施義務化です。改正法が成立すれば、公布から3年以内、2028年頃までに施行される見込みで、すべての事業場において従業員のメンタルヘルス対策強化が求められることになります。
本記事では、この新たな方針の概要と、これから対象となる事業者が知っておくべきポイントを解説します。
現行のストレスチェック制度の概要
現行の労働安全衛生法では、従業員50人以上の事業場に対して、年1回以上のストレスチェックの実施が義務付けられています。一方、従業員50人未満の事業場においては、ストレスチェックの実施は努力義務とされており、「努めるべき」とされています。この制度は、従業員の心理的なストレス状況を把握し、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐことを目的としています。
しかし、従業員数によって義務の有無が分かれている現状は、事業場の規模によって従業員のメンタルヘルスケアに差が生じる可能性を示唆しています。メンタルヘルスの課題は事業規模に関わらず発生しうるため、この二層構造が必ずしも公平であるとは言えません。
50人未満の事業場へのストレスチェック義務化方針と政府発表の詳細
2024年10月、厚生労働省は、従業員50人未満の事業場を含むすべての事業場に対してストレスチェックを義務化する方針を発表しました。
この方針は、2025年3月14日の閣議決定を経て、労働安全衛生法改正案として国会に提出されました。これにより、従業員規模に関わらず、すべての事業場が従業員のメンタルヘルスケアに積極的に取り組むことが求められるようになります。
従業員50人未満の事業者は、義務化に備えた準備を始める必要性が高まっています。
施行はいつから?ストレスチェック義務化のスケジュールと今後の見通し
改正された労働安全衛生法は、公布の日から起算して3年以内、つまり2028年4月頃までに施行される見込みです。厚生労働省は、小規模事業者が制度導入に向けて十分な準備期間を確保できるよう配慮する方針です。政府は、義務化に先駆けて、2027年までに50人未満の事業場のストレスチェック実施率を50%以上に引き上げることを目標としています。
>>出典:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要
この目標値の設定は、政府が法的義務化だけではなく、自主的な取り組みも促進しようとしていることを示唆しています。早期に対応を開始することで、よりスムーズな義務化への移行が可能となり、また、政府による支援策なども早期に活用できる可能性があります。
50人未満の事業場におけるストレスチェック義務化後の罰則の可能性
今後、従業員50人未満の事業場にストレスチェックが義務化された場合の罰則については、現時点では明確に定められていません 。しかし、労働安全衛生法に違反した場合、最大50万円の罰金が科される可能性があります。
法改正の内容を注視し、確実な対応を準備することが重要です。
ストレスチェックを実施しない場合の罰則についてはこちらの記事でも解説しています。
ストレスのチェックを行わないとどうなる?
ストレスチェックにかかる費用
小規模の事業場にとってストレスチェックの実施にかかる費用は気になるポイントです。
ストレスチェックの費用は、自社で実施する場合と外部委託する場合で異なります。自社で実施する場合は、主に担当者の人件費などがかかります。外部委託する場合は、従業員一人あたり数百円から千円程度が目安となります。以前は、小規模事業場向けの助成金制度がありましたが、現在は廃止されています。ただし、「団体経由産業保健活動推進助成金」など、事業主団体を通じて申請できる助成金制度が存在する場合があります。
費用は事業規模や選択するサービスによって変動しますが、従業員の健康管理は企業にとって重要な投資と捉えるべきです。利用できる助成金がないか、所属する事業主団体に確認してみることをお勧めします。
まとめ
2025年4月時点では、50人未満の事業場に対するストレスチェック義務化の施行日は未確定ですが、義務化の方針は決定的なため準備を整えておく必要があるでしょう。
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ASPの活用は、コスト面でも効率性においても、小規模事業場にとって現実的かつ有効な対応策と言えるでしょう。
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