ストレスチェックコラム
ストレスチェックを対応してくれる産業医師が見つからない場合実施できないのか?
2018/10/12
2015年にストレスチェック義務化が企業向けに施行されることとなりましたが、その中でも重要な役割が与えられているのが産業医師です。産業医師は、ストレスチェックにおいて心理的負担を把握するための検査の実施や面接指導の実施など、様々な職務が追加されているので、ストレスチェックを行う上では必要な存在になっています。
しかし、そんなストレスチェックを対応してくれる産業医師がいない場合、ストレスチェックを行うことは可能なのでしょうか。今回は、そんな産業医師が見つからない場合、ストレスチェックの対応をどのように進めていく必要があるのか、詳しい内容を解説していきます。
ストレスチェックを対応する産業医師の役割とは?
そもそも、ストレスチェックを対応する産業医師とは、どんな役割を持っている医師なのでしょうか。医師であれば誰でも産業医になれる訳ではなく、産業医学や労働衛生についても、深い知識を持っていなければなりません。
産業医学についての資格だけでなく、厚生労働大臣が定める正規の課程を修了していることも条件としてあるので、産業医師はある程度選ばれた者しか選任されないのです。
また産業医師として十分な能力と資格を持っていたとしても、労働者の健康管理と経営上の利益が一致しないように実施する必要があることから、事業場の経営者や事業場の代表者は産業医師に選ばれることは禁止されています。
ストレスチェックを対応する産業医師がいなくても実施は可能?
基本的にはストレスチェックを対応する産業医師がいなくては、ストレスチェックを実施することはできません。しかし、事業場の労働者の人数によっては産業医師が必要ないこともあります。
産業医師の選任は労働安全衛生法で定められていて、常時使用する労働者の人数によって設置義務や設置人数が異なるのが特徴です。また状況によっては専属の産業医師ではないと、ストレスチェックを対応することができないケースもあるので、選任内容について詳しく解説していきます。
3,001人以上の事業場の場合は、専属の産業医師が2名以上必要で、1,000人以上3,000人以下の事業場の場合は、専属の産業医師が1名以上必要です。他にも50人以上で999人以下の事業場では、専属ではなくても産業医師が1名以上必要になります。
ストレスチェックを実施する義務はないですが、努力義務があるとされる常時使用している労働者が50人未満の事業場では、産業医師を選任しなくてもストレスチェックを行うことが可能です。
50人未満の事業場では産業医師以外の医師でも対応可能
常時使用している労働者が50人未満の事業場では、そもそもストレスチェックを行う義務はありません。しかし、ストレスチェックを行うことは可能です。その際に産業医師の選任義務はないことから、他の医師や厚生労働省が定める者に労働者の健康管理を行わせることができます。
常時使用している労働者が50人以上いる場合は、ストレスチェックを対応してくれる産業医師がいなければ実施することはできませんが、ストレスチェックの義務がない50人未満の事業場では産業医師がいなくても対応が可能です。
もし事業場に産業医師がおらず、ストレスチェックの対応に困っているのであれば、産業医師の紹介サービスを行っている企業もあるので、一度利用してみることをおすすめします。
まとめ
労働者の心理的負担を検査することや高ストレスを感じている労働者に面接を行う義務がある産業医師は、事業場でストレスチェックを実施するのであれば、基本的には見つからないと実施することができません。
しかし、常時使用している労働者が50人未満である事業場では、産業医師以外の方でもストレスチェックを対応することは可能です。
事業者は自分の事業場において、常時使用している労働者は何人いるのか把握した上で、産業医師の対応を考える必要があるので、ストレスチェックを行う際は注意しましょう。
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