ストレスチェックコラム
ストレスチェックの結果によって当人の家族に伝えなければならないケースはある?
2018/06/29
労働者のメンタルヘルス不調を予防するために設けられたストレスチェック制度であるものの、結果を有効活用できていない企業もあります。ときには当人の家族に結果を伝えた方がよいケースなどもあり、デリケートな対応が求められていることに注意しましょう。
ストレスチェックの目的
厚生労働省により、従業員50名以上の事業所は年に1度のストレスチェックが義務付けられています。しかし、実施にあたっては単なる義務としてではなく、その目的を見失わないようにしたいところです。ストレスというのは本人が気付かないうちに精神を蝕んでいくものです。メンタルヘルス不調を予防するにはまず、ストレスを自覚することが重要になります。
ストレスチェックは労働者自身にストレスへの気付きを促すことがおもな目的です。さらに個別データをもとに集団分析も行い、職場環境の改善を行うことも努力目標とされています。したがって、ストレスチェックは調査そのもの以上に、その後の対応が大切といっても過言ではありません。場合によっては、家族に報告した方がよいというような事例もあります。
家族への報告を推奨するケース
ストレスチェックで高いストレスを抱えていることが判明すると、本人の希望があればさらに面談指導などを行うことになります。その結果、すでにうつ病などにかかっていると診断された場合には、家族にも報告して、会社でも家庭でも見守るようにできれば理想的です。しかし、あくまでも本人の承諾があればできることで、会社が勝手にするわけにはいかない点に注意しましょう。
一度心の病を発症してしまうと、どうしても多くの見守りが必要になり、完治までに時間もかかるものです。このような深刻な事態を招く前に、できるだけメンタルの健康を守ろうというのがストレスチェックの目的でもあります。この目的を十分に達成するには、日頃からのメンタルヘルスへの取り組みも問われています。
労使の信頼関係が大事
たとえば、うつ病にかかった労働者をじわじわと退職に追い込むような事例があったとします。このような事例を見ていた労働者は、ストレスチェックの結果で要面談と出ても、拒否することがほとんどです。さらに、ストレスを抱えていないように調査票に虚偽の記入をする労働者もいるでしょう。これではストレスチェックの機能が十分に発揮されることはありません。
ストレスチェックの目的を達成するには、まずメンタルヘルスへの取り組みをしっかりと行っている会社だと労働者に信頼される必要があります。そのためには、ストレスチェックの結果を利用して、職場全体の環境を整える企業努力を続けている姿勢を見せることも大事です。さらに、ストレスチェックは人事評価とはいっさい関係ないことも周知するようにしてください。実際、厚生労働省でもストレスチェックの結果を人事評価に利用することを禁止しています。ストレスチェックは労働者の心の健康を守るためのものです。労働者はストレスチェックを受ける義務があるのではなく、権利があるといってもよいでしょう。
どんな人でも多かれ少なかれ何らかのストレスを抱えながら仕事をしているものです。とくに長時間に及ぶ時間外労働が恒常化しているような職場は、うつ病などが発生するリスクも高くなっています。ストレスチェックの結果次第では、できれば家族への報告なども行いながら、できるだけ早く回復するように社内外で見守るようにしましょう。ストレスチェックは人事評価のためではなく、労働者の心の健康を守るために行うものだという目的をけっして忘れないようにしてください。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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