ストレスチェックコラム
ストレスチェックの結果で精神病と判断された場合に労災の対象になるのか?
2018/06/28
ストレスチェックの際に高ストレス者として判断されるばかりか、すでに精神病にかかっていることがわかるケースもまれにあります。このような場合は労災の対象となるのでしょうか。企業としてどうするべきなのか解説します。
そもそも労災とは?
労災とは労働者災害補償保険法第1条に「業務に関わること、または通勤が原因となって、労働者に生じた負傷、疾病、障害、死亡等」と記載されている内容のことです。もし、労災が発生したら、労働基準法によって事業者は労働者に補償する義務があります。
ただし、労災と認められるにはいくつかの条件が必要です。「業務上の事由」や「通勤」に起因しているかどうかは、労働者本人や遺族から提出された各種保険給付申請書などから、事業所所轄の労働基準監督署長が判断することになります。また、被害にあったのが労働者ではなく役員だった場合は対象外となります。最近のベンチャー企業などでは最初から役員として入社するケースもあるものの、この場合は労災保険の対象外となるのです。
精神病の労災
労働者のメンタルヘルスの不調を防ぐために行うストレスチェックで、すでに精神病を患っていると判断されるケースも少なくはありません。ここで問題になるのが、その精神病が労災の対象となるのかという点です。判断するために厚生労働省では「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めています。これによると、労災として認定されるには以下の3つの要件が必要です。
- ・認定基準対象となる精神病を発病している。
- ・精神病を発病する前のおよそ半年に渡って業務による強い心理的負荷があった。
- ・業務以外の心理的負荷、個別の事情で発病したのではないことが明らかとなっている。
たとえ精神病を発症したとしても、それが個人的な事情だったと判断されたなら、労災保険は下りません。しかし、業務との因果関係がはっきりしているならば、労災の対象となるので十分な補償をしなければいけません。
発症前の6ヶ月に注目
精神病と業務との因果関係を調べるにあたってとくに重視されるのが発症前の半年間です。もし、この間の仕事中に生死に関わる目、セクシャルハラスメント、その他同程度の心理的負荷を負うような特別な出来事があった場合には、ただちに労災と認められることがほとんどです。特別な出来事がなかったのなら、メンタルヘルスチェック後の面接指導などで心理的負荷が三段階評価でどの程度だったか調査しなければいけません。このとき、恒常的な長時間労働下に置かれ、心理的負荷も大きかったことが明らかになれば、やはり労災認定される可能性が高いといえるでしょう。
以上のように、労働者が精神病に罹患するほどになっていると、労災対象となるケースも少なくありません。企業にとっても大きな痛手となるため、労働者のメンタルヘルスの問題をできるだけ早く解決するためにも、ストレスチェックを活用するようにしたいところです。基本的には従業員50人以上の事業所を対象としているものの、50人未満の事業所に給付金が出る制度もスタートしました。活用してみてはいかがでしょうか。
労働者が精神病になってしまうと貴重な労働力を失うだけではなく、労災補償の対象となることも多く、企業としてはできるだけ未然に防ぎたいところです。ストレスチェック制度を活用して、メンタルヘルスの問題を起こしそうな労働者をできるだけ早い段階で援助するようにしましょう。また、結果をもとにし、誰もが心身ともに健やかに働けるような職場環境を整えることも忘れないようにしてください。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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