ストレスチェックコラム
ストレスチェックを故意的に受けない社員にはどのような対応をするべき?
2018/04/18
ストレスチェックは、事業者にとって行わなければならない義務の一つです。これは法令によっても定められており、社員にストレスチェックの受検を促すことが大切です。しかし、社員によってはストレスチェックを拒んでしまう方もいるでしょう。ストレスチェックの受検を故意的に受けない社員に対してはどのように対応するのが良いのでしょうか。
事業者がストレスチェックを強制することは法令で禁じられている
ストレスチェックの受検率は労働基準監督署に報告しなければならないことからも、事業者としてはストレスチェックの受検を推奨したいところでしょう。しかし、そもそもストレスチェックは、事業者などの人事権を持つ者による強制は認められておりません。そのため、受けないという社員に対して、無理矢理ストレスチェックを受けさせることはできないといえます。
労働者に対しては、ストレスチェック受検の可否の自由が認められています。そのため、受けない、あるいは受けたくないという社員であればストレスチェックを受けなくても構わないのです。
社員がストレスチェックを拒む場合は、その判断を受け入れなければなりません。では、そもそもなぜストレスチェックを拒んでしまうというケースがあるのでしょうか。
複数の理由が考えられますが、特に多いといわれているものが「元々メンタル面の問題を抱えており、それを明らかにしたくない」という理由です。社会には様々な精神疾患を抱えた方がおり、また、それと向き合いながら社会生活を送っているという方も多数います。
精神疾患はその性質上、人に理解されにくく、かつ治療も難しいものです。人によっては他者にその状態を隠して平穏を保っているというケースも多く、ストレスチェックによって明るみに出ることを避けてしまう場合があります。そのため、万が一ストレスチェックを受けないと拒まれた場合はその理由を追及するなどはせず、受け入れてあげるという姿勢が大切でしょう。
「事業者や実施者で勧奨を行ったうえで受けなかった」というプロセスを踏む
ストレスチェックの結果は労働基準監督署に報告するものですが、この結果によって労働基準監督署から指導が入るということはありません。そのため、ストレスチェックを受けない労働者がいたとしても、心配は要らないでしょう。
しかし、ストレスチェックの勧奨を行わず、その結果として受検率が低かったという場合には事情が異なります。ストレスチェックの勧奨は事業者の義務であるため、その義務を怠ってしまっていたら、なんらかの指導や措置が行われる可能性もあります。
そのため、事業者によるストレスチェックを行う旨の通達や、人事権を持たない実施者による個人個人への勧奨などを行うことで、ストレスチェックを勧奨したというプロセスをしっかりと踏みましょう。そのうえで、労働者による受検の可否の判断が委ねられるのであれば、問題はないでしょう。
ストレスチェックに対する理解の周知や不信感の払拭が大切
メンタル面に問題がないとしても、「ストレスチェック」というワードに対してちょっとした嫌悪感を抱いてストレスチェックを受けないというケースや、パーソナルな情報を握られてしまうのではないのかという不安感によって、受検を拒むというケースもあります。
そのような事態にならないためには、ストレスチェックがどのようなものなのか正しく周知させるということが事業者にとっては大切です。ストレスチェックがどのようなものであるのかを説明し、そのうえで人事権を持つものはストレスチェックの内容に関与できないという旨や、ストレスチェックの結果によって人事異動や退職などの勧奨が行われないこと、そもそも結果の開示自体は労働者の同意なしに行えないことなどを伝え、ストレスチェックに対する信頼感を得ることが大切でしょう。
ストレスチェックによって労働者の不利益になる結果をもたらすことは法令で禁じられています。この点を強調し、労働者を守るための制度であるということをしっかりと伝えましょう。そのうえでストレスチェックを受けないと判断する労働者の方がいれば、その判断を受け入れる必要があります。社員の判断を尊重することが、社員はもちろん、自社の未来を守ることにつながるといえるでしょう。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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