ストレスチェックコラム
メンタルヘルス対策として実施するストレスチェックの必要性
2018/02/16
ストレスチェックは、職場におけるメンタルヘルス対策として有効です。そもそも、ストレスチェック制度が義務化されたのには、数年連続で心の病による労災認定が過去最多となった社会背景があります。ここでは、メンタルヘルス対策として実施するストレスチェックの必要性についてお話しましょう。
ストレスチェックの目的
ストレスチェックは、ストレスチェックに関する質問票に回答することで、労働者がどのようなストレス状態にあるかをチェックする検査です。労働者個人に限らず、事業所全体の仕事内容や職場環境の問題を知ることもできるため、メンタルヘルス対策に有効だと考えられています。
ストレスチェックの結果、労働者は自らのストレスの状態を認識してストレス対策を取ることができます。ストレスが特に高いと判断された場合は、医師による面接指導を受けてさらに具体的な対処を行うことも可能です。医師から助言や医療機関の紹介を受けることや、事業所に仕事を軽減してもらうなどの措置を取ってもらうこともしやすくなります。このような対処から、うつなどのメンタルヘルスを未然に防ぐことがストレスチェックの大きな目的です。
目的を明確に達成するため、ストレスチェックを行う前にはきちんと方針を示しておく必要があります。事業所で衛生委員会を設け、誰がいつストレスチェックを実施するのか、質問票はどうするのか、高ストレス者はどのように判断されるのかなどの細かい点を決めていくのです。高ストレス者の面接指導はどのように申し出るのか、どの医師が面接指導を実施するのか、職場全体の集団分析はどうするか、ストレスチェックの結果は誰がどのように保管するのかなども、あらかじめ決めておくことが大切です。もちろん、話し合いで決まったことを事業所全体に周知することも重要です。
メンタルヘルスチェックそのものではない理由
メンタルヘルス対策に役立つストレスチェックですが、ストレスチェックはメンタルヘルスチェックではない点にも気を付けておきましょう。どのような意味かというと、ストレスチェックがうつ病などの精神疾患の早期発見と早期治療を主な目的としているわけではないということです。この点は、定期健康診断との違いという意味でも理解しておく必要があります。
ストレスチェックは、ストレス状況について労働者個人に気付きを促すのが目的です。ストレスの要因そのものを減らすための一次予防の取り組みと考えれば、わかりやすいでしょう。ストレスチェックでは、個人のメンタルヘルス不調のリスクを減らすことができます。と同時に、結果を集団ごとに集計・分析して職場全体のストレス要因を追求し、職場環境の改善に役立てることが可能です。そのなかで高ストレス者を発見できれば、医師による面接指導によって精神疾患を未然に防ぐことができます。メンタルヘルスチェックとストレスチェックの違いを理解するのは微妙な問題ですが、正しく理解すればより意義あるストレスチェックを行えるでしょう。
メンタルヘルス対策としてのストレスチェック
労働者の健康問題は、職場での地位や昇進、解雇などにも影響し得るデリケートな問題です。近年、心の病による労災認定が急増しているからといって、メンタルヘルス問題を積極的に明るみに出そうとする労働者はいません。だからこそ、ストレスチェックを実施する側が心の病を抱える従業員を発見することを主目的と勘違いしてしまうのは危険なのです。
事業所側がストレスチェックへの誤解を抱いていると、労働者はストレスチェックに正直な回答をしなくなるかもしれません。そのようなことになれば、ストレスチェックにコストをかけること自体が無駄になってしまいます。ストレスチェックは、あくまでも労働者個人の気付きを促すセルフケアであること、そのうえで職場のストレス状況を把握して改善に向かうためにあることの理解が重要です。また、その認識を労働者にも周知することで、ストレスチェックをメンタルヘルス対策として有意義に行うことができるでしょう。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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