ストレスチェックコラム
ストレスチェックの実施者を社内に置くことのメリット・デメリット
2018/02/13
ストレスチェックの実施者は、人事権を持っていないことが条件です。しかし、完全に外部に委託するにはリスクも懸念されます。厚生労働省の推奨は、事業所を日頃から把握している産業医などが実施者になることです。ここでは、ストレスチェックの実施者を社内に置くことのメリットやデメリットについてお話します。
事業所との連携
ストレスチェックの実施者は、人事権を持たない医師や保健師などが担当するように法律で定められています。ただし、事業所内のことを日頃から把握している人物が望ましいため、実施者として推奨されているのは産業医などの産業保健スタッフです。
日頃から事業所を把握している人がストレスチェックの実施者になるメリットには、事業所との連携がスムーズに進むことがあげられます。ストレスチェックの実施者には、労働者にストレスチェックを受けるようにすすめるなどの事務的な要素も出てきます。産業医とはいえ、単独で労働者に働きかけるのは容易ではないでしょう。事業所内の実施事務従事者と連携をしてこそ、労働者への働きかけが実現しやすくなるはずです。
ストレスチェックの企画についても、項目の選定や評価基準など、実施者が事業所と連携して行います。結果の点検や面接指導が必要となる人の選定、個人や集団の評価なども、実施者だけでなく事業所との連携にて行われます。ストレスチェックの結果は実施者から通知されますが、事業所に結果を知られることを労働者が望まないとしても、全く無関係な人から結果通知をされることに戸惑う人も多いでしょう。ある程度の面識があったり、事業所の産業保健スタッフという信頼性があったりしたほうが、労働者のストレスチェックへの安心感にもつながります。
高ストレス者の面接指導への不安
ストレスチェックの結果によっては、高ストレス者と判断されて面接指導をすすめられる労働者がいます。高ストレスを労働者自身が自覚していようがいまいが、面接指導が必要とされる通知は不安になるものです。面接指導は強制ではなく、労働者本人の希望によって実施されます。しかし、高ストレス者と判断されたにも関わらず面接指導を希望しないままでいる労働者がいることは、望ましくありません。面接指導を受けてもらい、ストレス対策につなげていかなければ、事業所の将来にも個人の健康にも影響を与えるでしょう。
そこで厚生労働省では、ストレスチェックの実施者が高ストレス者に対して面接指導を勧奨するのが望ましいとしています。連携できるのは、ストレスチェック実施事務従事者です。外部の委託業者から面接指導を勧奨されるよりは、事業所の産業保健スタッフやストレスチェック実施事務従事者からすすめられたほうが、労働者にとっても前向きな検討をしやすいのではないでしょうか。ただし反対に、日頃から関わっている人に面接指導を勧奨されることを負担に感じる労働者もおり、この場合はデメリットとなり得ます。ストレスチェックの結果を事業者と共有したがらない労働者への配慮は、忘れてはなりません。
個人情報の管理
ストレスチェックの結果は、実施者が5年間保存する必要があります。労働者の許可がなければ事業所にも開示できず、重要な個人情報として扱わなければなりません。外部にストレスチェックの実施を依頼する場合は、個人情報の管理には充分に配慮してもらうことが重要です。事業所内でも個人情報の管理は容易なことではありませんが、外部に委託するよりは安心感があるでしょう。
反面、事業所内にストレスチェックの結果が保存されていることで、いつ誰の目に触れるかわからないと不安に感じる労働者もいるかもしれません。ストレスチェックの結果の保存については、あらかじめ決めておくだけでなく見直しをしながら対応していくことも大切です。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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