ストレスチェックコラム
過重労働対策にもストレスチェックの導入が活用できる!
2018/02/26
過重労働は健康障害にもつながりだけではなく、心理的な負担にもなりかねません。昨今、ニュースを騒がせた社会問題となりました。厚生労働省では10年前から過重労働による健康障害防止のための総合対策を策定しています。労働者本人による疲労蓄積度を判定するチェックリストも作成されているため、大いに活用したいところです。ストレスチェック導入も過重労働対策の一環になります。今回はその理由についてご説明します。
過重労働対策とは
長時間労働は、依然として日本の社会問題です。2014年11月1日からは過労死対策推進法が施行され、長時間労働対策が強化されています。例えば、過労死等ゼロ緊急対策では、メンタルヘルス対策として会社に特別指導が入ることもあります。複数の精神障害の労災認定があった場合、パワハラ対策も含めて会社に個別指導が行われるのです。ハイリスクな労働者を見逃さないための取り組みとして、該当者の情報を産業医に提供することも義務づけられています。ストレスチェックでも高ストレスと判断された労働者は面接指導を受けられますから、ストレスチェックを受けることが過重労働対策のきっかけとなるのは間違いないでしょう。
是正指導段階での企業名公表制度等新たな仕組みでは、長時間労働として違反される労働時間は、従来月100時間超だったことから、2017年には月80時間超に拡大しました。
月100時間超が2事業場で認められた場合や過労死等・過労自殺等で労災支給決定したことが2事業場に認められた場合、企業本社の指導を実施します。是正されない場合は企業名を公表されてしまうことになります。長時間労働の背景には、労働時間を雇用者が適切に管理していない一因も見られています。自己申告制であっても、雇用者は労働者の労働時間を把握しておくべきです。そのための措置として、厚生労働省ではガイドラインを出しています。
ストレスチェックで分かること
ストレスチェックで用いられる調査票は、独自に作成するも、外部が作成したシートを使うも自由です。厚生労働省が推奨するストレスチェック簡易調査票では57項目の質問が設定されているものの他に、23項目のより簡易版があります。この質問事項では、仕事上のストレス要因・ストレス反応・修飾要因などを測定するものです。ストレスチェックでは、個人のストレスの程度がわかるだけでなく、集団分析も可能です。特定の労働者だけが過重労働を強いられていないか、全体的に勤務時間が長くなっているのではないかといったことも、ストレスチェックから判断できます。
面接指導での対策
ストレスチェックの結果によって高ストレスと判断された労働者は、面接指導を申し出ることができます。面接指導では、医師からあらためて勤務時間の状況が確認されます。会社があらかじめ用意した高ストレス者の勤務時間や業務内容について、医師が確認をする流れです。
他にも、抑うつ症状がないか、生活状況の確認なども行われますが、勤務時間の負担が重いことがストレスの要因となっているようであれば医学的な見地から指導があります。例えば、ストレスの対処技術が指導されたり、労働者自身がストレスに気づいて予防ケアできるようにしたりすることも指導のひとつです。必要があれば、専門機関を紹介して受診を促すこともあります。
面接指導後の結果は人事労務部門内のみで保管されます。勤務時間や業務内容などの就業上の措置は、必要に応じて決定されます。措置への対応は以下の通りです。
就業上の措置の決定及び実施
法第 66 条の 10 第6項の規定に基づき、事業者が労働者に対して面接指導の結果に基づく就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話し合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めるとともに、労働者に対する不利益な取扱いにつながらないように留意しなければならないものとする。なお、労働者の意見を聴くに当たっては、必要に応じて、当該事業場の産業医等の同席の下に行うことが適当である。
事業者は、就業上の措置を実施し、又は当該措置の変更若しくは解除をしようとするに当たっては、当該事業場の産業医等と他の産業保健スタッフとの連携はもちろんのこと、当該事業場の健康管理部門及び人事労務管理部門の連携にも十分留意する必要がある。また、就業上の措置の実施に当たっては、特に労働者の勤務する職場の管理監督者の理解を得ることが不可欠であることから、事業者は、プライバシーに配慮しつつ、当該管理監督者に対し、就業上の措置の目的及び内容等について理解が得られるよう必要な説明を行うことが適当である。
また、就業上の措置を講じた後、ストレス状態の改善が見られた場合には、当該事業場の産業医等の意見を聴いた上で、通常の勤務に戻す等適切な措置を講ずる必要がある。
>>出典:厚生労働省 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 実施マニュアル
ストレスチェックから措置までは期間や流れは以下のようになります。
>>出典:厚生労働省 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 実施マニュアル
医師による助言には法的な強制力こそありませんが、これを無視して措置を怠った会社は労働者の病状の悪化などにより安全配慮義務違反となる可能性があります。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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