ストレスチェックコラム
ストレスチェックの実施は外部委託にするべきなのか
2017/9/17
会社内で最初から最後まで行えば外部業者に委託する必要はありません。しかし、ストレスチェックを社内ですべて行うことで負担が生じます。今回は、外部委託するメリットについて紹介します。
ストレスチェックは外部委託を前提にした制度
ストレスチェックは、外部機関に委託しても問題ありません。これは、産業医や保健師などの実施者に外部委託することを前提として作られています。
「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」は以下の通りです。
(3)外部機関にストレスチェック等を委託する場合の体制の確認に関する留意事項
○ 外部機関にストレスチェック等を委託する場合の体制の確認に関する留意事項
ストレスチェック又は面接指導は、事業場の状況を日頃から把握している当該事業場の産業医等が実施することが望ましいが、事業者は、必要に応じてストレスチェック又は面接指導の全部又は一部を外部機関に委託することも可能である。この場合には、当該委託先において、ストレスチェック又は面接指導を適切に実施できる体制及び情報管理が適切に行われる体制が整備されているか等について、事前に確認することが望ましい。
>>出展:厚生労働省 「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」
しかし、現実的な問題として、ストレスチェックの実施者になることを嫌がる産業医も増えています。医師にもそれぞれ得意分野と不得意分野があります。産業医といってもメンタルヘルスに対して専門知識を持った医師ばかりではありません。専属の産業医は一部の大企業に限られており、病院の仕事の時間が空いた際に、面接指導を行う医師もいます。
ストレスチェックを実施後、高ストレス者に面接指導を行わず症状が悪化したとします。その場合にご家族から訴訟される可能性は否定できません。
そのため、実施者を避ける産業医も多いのです。委託をできる産業医が見つからない場合には、外部委託によりストレスチェックを行うのが一般的です。
外部委託により社内の負担を軽減
ストレスチェックで外部委託をすれば費用がかかるため、自社で全て行うという選択肢もあるでしょう。ストレスチェックを実施できる体制が整っていれば、外部委託する必要はありません。自社でストレスチェックを全て行う場合、企業や実施者に大きな負担がかかります。
ストレスチェックであれば産業医以外でも、実施事務従事者を選ぶ必要があります。
実施事務従業者は実施者から指示を受けて事務を担当する立場であり、労働者に対して人事権を持っている人間はなれません。
>>出展:厚生労働省 「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」
実施事務従業者の主な業務は以下の通りです。
ストレスチェックの「実施の事務」
(人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者が従事できない事務)
労働者の健康情報を取扱う事務をいい、例えば、以下の事務が含まれます。
① 労働者が記入した調査票の回収※、内容の確認、データ入力、評価点数の
算出等のストレスチェック結果を出力するまでの労働者の健康情報を取扱う
事務。
② ストレスチェック結果の封入等のストレスチェック結果を出力した後の労
働者に結果を通知するまでの労働者の健康情報を取扱う事務。
③ ストレスチェック結果の労働者への通知※の事務。
④ 面接指導を受ける必要があると実施者が認めた者に対する面接指導の申出
勧奨。
⑤ ストレスチェック結果の集団ごとの集計に係る労働者の健康情報を取扱う
事務。
※封筒に封入されている等、内容を把握できない状態になっているものを回収又
は通知する事務を除く。
>>出展:厚生労働省 「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」
など多岐に渡ります。実務事務従業者になるためには特別な資格は必要ありません。そのため、総務部や人事部が担当することが一般的です。ストレスチェックでは個人的な秘匿情報を取り扱います。会社は情報管理について慎重に取り扱い管理保管しなければなりません。実施事務従事者はストレスチェックの結果を見ることができる立場のため、守秘義務が生じ重い責任が課せられます。
万が一、個人的な情報が社内に漏れてしまえば、その対処に費用がかかります。社外に外部委託すればそのような不安材料も払拭できます。そのため、少々費用がかかっても依頼する企業が多いのです。
外部委託するメリットとは
社内でストレスチェックを実施できる資格を持った人がいなければ、外部委託を行う必要はありません。
外部委託するメリットとしては、匿名性が高くなるため、労働者が素直に受けてくれる可能性が高くなるでしょう。社内で行うストレスチェックでは、プライバシーが守られるのか不安に思う労働者もいます。そのため、正直に答えない可能性も考えられます。
加えて、高ストレス者という結果が出ても面接指導を受けないこともあり、ストレスチェックを十分に活用することが難しくなってしまいます。外部委託によりその点の問題を解決できるでしょう。
また、産業医や保健師を確保する手間がかからない点も、メリットのひとつです。会社で行う場合も、実施者を確保してもらえるだけでも会社の負担は減ります。また、ストレスチェックに対して専門知識がない社内の担当者に任せる場合、日常業務にも影響が出ることもあるでしょう。
しかし、外部業者であれば、適切なサポートをしてくれるため、心配ありません。選任の産業医や実施事務従事者の負担を最小限に抑えることもできます。外部委託業者に依頼する際は、費用面、人材や知識などを総合的に考えることが大切です。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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