ストレスチェックコラム
厚生労働省のストレスチェックのガイドラインとその項目
2017/9/13
ストレスチェックのガイドラインや項目が設けられているのか気になる人もいるはずです。深い理解のためには、ストレスチェックの目的を知る必要があります。ストレスチェックの指針や簡昜版23項目の内容についてみていきましょう。
ストレスチェックの目的
ストレスチェックの内容として、厚生労働省の「ストレスチェック制度導入マニュアルでは以下のように記載されています。
「ストレスチェック」とはストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。「労働安全衛生法」という法律が改正されて、労働者が50人以上いる事業所では、2015年12月から毎年1回、この検査を全ての労働者に対して実施することが義務付けられました。
以前から厚生労働省では、労働者の心の健康の保持促進のための指針を公表し、事業所のメンタルヘルスケアに力を入れていました。
しかし、ガイドラインを設けても、職場のストレスでのうつ病の発症などは増加傾向にあります。
>>出典:厚生労働省 職場におけるメンタルヘルス対策の推進について
そのため、労働衛生安全衛生法の一部を改正する法律においてストレスチェック制度が創設されたのです。労働者自身が自らのストレスケアに意識を向けやすくなり、企業もより良い職場環境作りを行うことでメンタルヘルスの不調を予防することに期待できます。
ストレスチェックのガイドライン
事業者として特に注意したいのは、ストレスチェックによって労働者に不利益な取り扱いをしてはいけないということです。厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルには以下の記載があります。
第 66 条の 10
3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
>>出典:厚生労働省 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル
面接指導をまだ受けていない時点ではストレスチェックの結果により、就業上の措置を判断することも許されません。また、ストレスチェックを受けたがらない労働者がいる場合もあります。その際には、労働者が不利益にならないよう注意しなければならないのです。例としては、ストレスチェックを受けないことを理由に労働者を懲戒処分することがあげられるでしょう。
以下にようにストレスチェックの結果を理由に解雇する、契約の更新をしない、退職勧告や配置転換や役職の変更や労働関係法令に違反することは固く禁止されています。
面接指導の結果を理由として、次に掲げる措置を行うこと。
(a)解雇すること。
(b)期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと。
(c)退職勧奨を行うこと。
(d)不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は
職位(役職)の変更を命じること。
(e)その他の労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること
>>出典:厚生労働省 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル
ストレスチェックの実施後に高ストレス者からの申し出があり、面接指導を行った医師から改善の必要性があるといわれる可能性もあります。
上司などの管理監督者が、ストレスチェック結果を面倒と感じ、個人的な感情で労働者を不当に取り扱えば職場に重篤なストレス要因があったとしても改善されることはないでしょう。
ストレスチェック簡易的な23項目
厚生労働省では57項目の職業性ストレス簡易調査票を推奨しています。
57項目の職業性ストレス簡易調査票は
① 仕事について(職業性ストレス因子分析)
② 最近1ヶ月間の状態について(ストレス反応の分析)
③ 周りの方々・満足度について(ストレス因子とストレス反応との関係を修飾する因子分析)
の3つの構成からなります。
また、57項目の中から23項目を抜粋した簡易版もあります。
調査票は標準的なストレチェック項目を参考にし、独自的な項目を選定することが許されていますが、現実問題としてなかなか難しいでしょう。例えば、性格診断や適性検査や希死念慮、自傷行為などを設問に含むのは不適当となっていますが、ストレスチェックの知識がなければそのことを知らないのも当然です。
社内にメンタルヘルス関係の専門家がいる、選任している産業医がストレスチェックについて深い知識を持っているなら良いですが、外部委託業者へ依頼することがおすすめです。
簡易版の23項目では、職場の仕事の状況や仕事量についての設問があります。たくさんの仕事をしなければならないこと、時間内に処理しきれない、一生懸命働かないといけないなどにより、労働者のストレス度合いを探っていきます。
仕事の裁量に関し、自分のペースで行えるかどうか、順番や方法を自分で決められるかどうか、仕事の方針に自分の意見を反映できるかどうかは気持ち良く仕事ができるかのポイントとなります。
近年では、過重労働や悪質な職場内いじめが横行するブラック企業という存在が問題となり、多くの人が労働環境に目を向けるようになりました。労働時間や労働の質、人間関係でストレスが多い環境を放置していれば、破綻する可能性は高くなります。ストレスが原因によるうつ病などで会社から複数人も休業や退職者、最悪、過労死や自殺者が出れば、企業の社会的な信頼にも影響します。
平成29年中における自殺の内訳でも健康問題、家庭問題の次いで勤務問題でも自殺者数も多くあります。
そのほか、疲労感や不安感、抑うつ感、心身のコンディション状態についての質問があります。周囲のサポートに関し上司や職場の同僚と気軽に会話ができるか、困った時上司や同僚は頼りになるか、個人的な相談をした時に上司や同僚は聞いてくれるのかなどが簡易的な23項目の内容です。
ストレスチェックで労働者がストレス対策を適切に行えるのは、企業や管理監督者にとっても大切といえます。働いている労働者の健康を守る義務を事業者は守らなければなりません。そのことを踏まえて、ストレスチェックを実施する必要があるでしょう。
まとめ
ストレスチェックは、平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
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