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ストレスチェックコラム
増加傾向の「見えない労働時間」 人事が把握すべき「過重労働」と健康管理責任
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裁量労働制や副業・兼業の普及により、従来の勤怠管理だけでは社員の実際の労働負荷を把握することが難しくなっています。「本人が大丈夫と言っているから」という判断が通用しない時代に、人事・労務担当者にはデータに基づく健康管理が求められています。本記事では、特に見落としが起きやすい 裁量労働制 と 副業・兼業 の2つの観点から、人事が今すぐ取り組むべき実務ポイントを解説します。
裁量労働制と「自覚なき過重労働」の落とし穴
裁量労働制のもとでは、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ決められたみなし時間を働いたものとして扱います。しかしこれは、労働時間の管理が不要という意味ではありません。労働安全衛生法の規定により、 事業主には労働者の健康を確保するために「健康管理時間」を把握する法的義務 があります。
特に注意が必要なのは、責任感の強い社員や高スキル層が陥りやすいとされる「自覚なき過重労働」です。仕事への充実感や達成感が、実態としての疲労を覆い隠してしまうケースは少なくありません。
このリスクを早期に発見するには、勤怠ログやPCの使用履歴といった 客観的記録 と、ストレスチェックや疲労度調査から得られる 主観的データ を組み合わせて分析することが有効です。特に以下のパターンは、早期介入が必要なサインとされています。
- 高負荷・低ストレス(潜在型): 労働時間は長いが本人のストレス自覚が低い状態。ある日突然、深刻な健康障害や燃え尽きを起こすリスクが高まるとされています
- 低負荷・高ストレス(環境リスク型): 労働時間は短いが本人のストレス自覚が高い状態。業務のミスマッチや人間関係の問題を抱えているサイン
- 高負荷・高ストレス(即時介入型): 客観・主観ともに危険水準。速やかな業務調整や産業医面談などの組織的介入が必要
副業・兼業が生む「安全配慮義務」の難題
「自社では定時退社しているが、夜間に副業を行っている社員」に対して、企業はどこまで責任を負うのでしょうか。
現在の実務上の考え方では、副業を含めた 総労働負荷 が健康に与える影響を無視することはできないとされています。たとえ他社での労働であっても、健康を害した場合に自社業務への支障が生じれば、安全配慮義務違反を問われるリスクがあるからです。
副業・兼業を許可している企業は、単に「許可するだけ」の受動的な姿勢から脱却し、社員の健康を積極的に守るための ガイドライン策定 が求められます。
副業・兼業ガイドラインに盛り込む3つの要素
実効性の高いガイドラインには、以下の3つの要素が欠かせません。
1. 総労働時間および負荷の自己申告義務
副業先の労働時間を含めた合計を定期的に申告させる仕組みを設けます。合計労働時間を把握することで、疲労蓄積の予兆を客観的に捉え、過重労働リスクを未然に防ぐことができます。
2. 健康状態の共有・連携ルール
自社のストレスチェックや健康診断の結果を副業先の負荷と照らし合わせることで、パフォーマンス低下の真因が自社業務か副業かを切り分けることができます。
3. 就業制限・許可取消基準の明確化
健康状態が悪化した際の介入ルールを事前に合意しておくことで、トラブルを防ぎながら社員の持続可能なキャリア形成を支援できます。
ストレスチェックを「経営のセンサー」として活用する
50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施について、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が成立し、令和7年5月14日に公布されました。
令和10年5月(2028年5月)までには、50人未満の事業場を含む全ての企業でのストレスチェック義務化が施行されます。
この変化を単なる事務負担の増加と捉えるのではなく、組織全体の健康状態を測る「経営ツール」として活用することが重要です。50人未満事業場を対象とした2026年義務化の詳細もあわせてご確認ください。
年1回の定期調査(ベースライン確認)に加え、月次の簡易調査(パルス調査)を組み合わせることで、裁量労働者や副業を行っている社員の急激な状態変化をリアルタイムで察知できます。また、外部機関への委託を活用すれば、社内漏洩への懸念から社員が本音の回答をためらうリスクを下げ、より正確なデータを収集しやすくなります。
まとめ
裁量労働制の拡大と副業・兼業の一般化は、人事担当者に「見えない労働」を管理するという新たな責任をもたらしています。安全配慮義務を果たすためには、勤怠データとストレスチェックの結果を組み合わせた多角的な健康管理が不可欠です。
ストレスチェック完全義務化を契機に、制度を単なる法令対応としてではなく、組織の健康を守る「経営のセンサー」として位置づけ直しましょう。まずは自社のストレスチェック実施体制を見直し、裁量労働者や副業者も含めた包括的な健康管理体制の構築から始めることをお勧めします。ストレスチェックの基本的な仕組みと義務化の概要もあわせて参考にしてください。
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